知人が、TVでこの本が紹介されて面白そうだったので読んだらそこそこ楽しいものだった、と言ったので早速アマゾンから取り寄せて読んでみました。

著者はアメリカの民間団体、
ジャパン・ソサエティの映画部門で
働いている平野 共余子さん。







最初から順番に読むのでなく、面白そうなエピソードから読んでみました。映画ファンである自分は日本の古い映画もよく知っていると自負していたのですが、「チョコレートと兵隊」という1938年制作の映画など聞いたことのないタイトルも結構ありました。このチョコレートと・・を見たアメリカの映画関係者が、こんな映画は我が国では作れない、役者がいない、とコメントしたそうです。
会場からすすり泣きが聞こえたという、熊井啓監督の「深い川」も知りませんでした。 反戦思想の入った映画はちと苦手。

「北野武」監督は、少々下品なしぐさと感覚的なしゃべり方が苦手で好きではないのですが、「ぽち袋」の話には感動しました。「HANABI」の試写会をニューヨークでやった時、ガードマンを雇って彼に張り付いてもらったそうです。

舞台挨拶も、映画も終わってジャパン・ソサエティを出るとき、彼のマネージャーがそのガードマンの所に行って「今日はお疲れ様でした。これは日本の習慣です」とポチ袋を渡した。・・・・北野監督の目線はいつも下にある。この日一番身体を張って緊張して頑張ったのは、ほかでもないガードマンだからである。 >

「愛のコリーダ」はアメリカでもほかの国でも爆笑でもって見られる、というエピソードも興味深かったですね。
(輸入盤DVDを持っているけど笑えないな。大勢で見ると笑えるのかなぁ? ただ大島監督の映画は大真面目に作った作品でも、確かにどこか可笑しいところはあると思いますね)

この人が新人で試写の入り口に立たされていたとき、挨拶もなく入ろうとした人に、どなた様ですかと聞いたら、「てめぇ、映画界にいて俺のことを知らないのか!」と怒鳴られたのに、淀川さんや川喜多かしこさんは、入り口で新人の彼女に向かって深々と頭を下げて挨拶したエピソードは、人間の品格がわかる話です。


2100円ですが、映画の好きな方にはお薦めですね。
ちなみに私の好きな日本映画は
成瀬監督の「浮雲」であります。